健康食品ブームにあって、現在最も注目を集めている成分が「コエンザイム」です。アンチエイジングの切り札としてマスコミでも取り上げられ、様々な製品が市場に出回っています。一時は売り切れ続出といわれるほどのブームを巻き起こしました。そんなコエンザイムについての情報をWEBから集めてみました。
★ユビキノンとは?
ユビキノン(略号:UQ)とはミトコンドリア内膜や原核生物の細胞膜に存在する電子伝達体の1つであり、電子伝達系において呼吸鎖複合体IとIIIの電子の仲介を果たしている。ベンゾキノン(単にキノンでも良い)の誘導体であり、比較的長いイソプレン側鎖を持つので、その疎水性がゆえに膜中に保持されることとなる。酸化還元電位 (Eo') は+0.10V。
広義には電子伝達体としての意味合いを持つが、狭義には酸化型のユビキノンのことをさす。還元型のユビキノンは『ユビキノール』と呼称していることが多い。別名、補酵素Q、コエンザイムQ10(キューテン)、ビタミンQ、CoQ10、ユビデカレノンなど。
◎ユビキノンの合成
ユビキノンは生物内での合成が可能であり、ビタミンのように経口摂取する必要は無い。そのため、ビタミンQの呼称は最近使用されなくなってきている。ユビキノンのベンゾキノン部位はアミノ酸のトリプトファンから合成される。またイソプレン側鎖はアセチルCoAからテルペンを経て合成される。
ただ、合成能力は年齢とともに衰えていき、20代がピークといわれている。
◎健康食品や化粧品への応用
ユビキノンは日本では1970年代から医療用医薬品として軽度及び中等度のうっ血性心不全症状などに用いられてきた。また、複数の製薬メーカーが、一般用医薬品(OTC医薬品)・医薬部外品として、一般消費者向けの商品を発売している。安全性は比較的高く、米国ではコエンザイムQ10の名称でサプリメントとして広く用いられており、医師の処方箋なしに消費者が直接店頭などで購入できる。
日本でも2001年に医薬品の範囲に関する基準(いわゆる「食薬区分」)が改正され、さらに2004年化粧品基準が改正されて、健康食品や化粧品への利用に道が開かれた。その結果、抗老化作用を訴求したユビキノン(コエンザイムQ10)含有の健康食品や化粧品が市場に氾濫し、品薄で入手しにくいほどの人気を博している。 しかしながら、そのような薬効を臨床的に検討したデータはまだ乏しく、詳細な効果についてはまだ詳しくわかっていない。
摂取量については、どの程度までなら摂取しても安全なのか、などといった推奨量や上限量はまだよくわかっておらず、今後の研究が待たれる。また「多量に摂取した場合に軽度の胃腸症状(悪心、下痢、上腹部痛)」[1]があらわれるという報告もあり、1日に数十mg〜もの過剰摂取は避けた方が望ましい。
ユビキノンから開発された「イデベノンIdebenone(アバン)」は脳循環・代謝改善剤として使用されていたが、日本では1998年に医薬品の承認を取り消されている。
◎原料製造メーカー
2007年現在コエンザイムQ10の原料製造を行っているのは世界でも日本企業5社(日清ファルマ(日清製粉グループ本社子会社)、カネカ、旭化成ファーマ(旭化成子会社)、三菱ガス化学、協和醗酵工業)のみであり、世界シェア100%を握っている。中でもカネカは最大のシェア(約65%)を持っている。各社とも、発酵法によって製造を行っている。
★コエンザイムAとは?
補酵素A(ほこうそA、コエンザイムA あるいは CoA)は、生物にとって極めて重要な補酵素(助酵素)である。パントテン酸とアデノシン二リン酸、および 2-チオキシエタンアミンから成り立っており、化学式C21H30P2N5O11S、分子量474。
補酵素Aの構造式末端にあるチオール基に様々な化合物のアシル基がチオエステル結合することによってクエン酸回路やβ酸化などの代謝反応に関わる。例えばアセチル基が結合したものはアセチルCoAである。その他にも多くの補酵素Aのチオエステル化合物がある。
アセチルCoAは様々な経路によって生産される。最も代表的なものは解糖系(EM経路)で、ピルビン酸を原料とし、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の働きによって生成する。その他にも脂肪酸の代謝や、アミノ酸の異化によっても生成する。また、一部の嫌気性微生物は二酸化炭素と水素を反応させることによって作り出す。この経路はアセチルCoA経路と呼ばれる。殆どの生合成経路に関連する、最も重要な化合物といっても過言ではない。クエン酸シンテターゼによってオキサロ酢酸と反応してクエン酸となりクエン酸回路に組み込まれる。また、アセチルCoAチオラーゼの働きによりアセトアセチルCoAとなってメバロン酸経路の出発物質となる。また、マロニルCoAとともに酢酸-マロン酸経路とも関連している。
◎アセトアセチルCoA
アセチル基がアセチルCoAに結合したもので、チオラーゼが触媒するアセチルCoA 2分子の縮合反応によって生成する。テルペノイド合成(メバロン酸経路)及びβ酸化の最終段階で現れる。
◎カフェオイルCoA
コーヒー酸と補酵素Aからなる。リグニン生合成に関わる物質の一つで、trans-コーヒー酸から4-クマル酸リガーゼの働きによって生成する。キナ酸 O-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼによりクロロゲン酸が生成。また、シンナモイルCoAレダクターゼによりコーヒーアルデヒドができる。
◎クマロイルCoA(4-クマロイルCoA)
p-クマル酸(4-ヒドロキシケイ皮酸)と補酵素Aが縮合したものであり、フェルロイルCoA、シンナモイルCoA、シナポイルCoA及びカフェオイルCoAとともにフェニルプロパノイド/リグナン合成の中間体であり、フラボノイド生合成の出発物質でもある。トリヒドロキシスチルベンシンテターゼによってトリヒドロキシスチルベンとなり、シンナモイルCoAレダクターゼにより、クマリルアルデヒドとなる。
◎グルタリルCoA
グルタル酸と補酵素Aの縮合化合物。リシンおよびトリプトファンの分解に伴って生成する2-オキソアジピン酸と補酵素Aが2-オキソアジピン酸デヒドロゲナーゼによって縮合して生成する。あるいは、グルタル酸-CoAリガーゼによる縮合反応によってできる。グルタリルCoAレダクターゼによってクロトニルCoAとなる。
◎クロトニルCoA
クロトン酸とのチオエステル化合物。トリプトファンおよびリシン代謝の中間体として、グルタリルCoAがグルタリルCoAレダクターゼによって還元されて生成する。これはさらにエノイルCoAヒドラーゼによる還元を受け、3-ヒドロキシブタノイルCoAとなり、最終的には解糖系に組み入れられる。
◎シナポイルCoA
4-クマル酸-CoAリガーゼによってシナップ酸とCoAのチオエステル化合物で、ケイ皮酸などともにリグニン生合成に関連する化合物。シンナモイルCoAレダクターゼによってシナポイルアルデヒドとなる。さらにこの化合物は還元されてシナポイルアルコールとなり、リグニンの直接の原料となる。
◎シンナモイルCoA
ケイ皮酸と補酵素Aから4-クマル酸-CoAリガーゼにより生成する。リグニン合成に関連する化合物の一種である。シンナモイルCoAレダクターゼにより還元されてシナミルアルデヒドとなるほか、ピノシルビンシンテターゼによりピノシルビンとなる。
スクシニルCoA(サクシニルCoA)
コハク酸と補酵素Aのチオエステル化合物で、クエン酸回路を構成する化合物の1つである。これは2-オキソグルタル酸と補酵素Aが2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼによって反応してできる化合物で、スクシニルCoAシンテターゼにより、コハク酸となる。この化合物の重要な役割はクエン酸回路の中間体であるということだけでなく、クエン酸回路の反応を調節する点にある。スクシニルCoAによってクエン酸シンターゼ及び2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼがアロステリック効果により阻害を受けるのである。スクシニルCoAは脂肪酸代謝でも重要な役割を果たす。脂肪酸代謝において、偶数個の炭素を有する脂肪酸はβ酸化によりアセチルCoA単位に分割されてクエン酸回路に組み込まれるが、奇数個の炭素を有する脂肪酸は最後にプロピオニルCoAが残ってしまう(プロピオニルCoAはアミノ酸の代謝によっても生成する)。これを代謝するためにプロピオニルCoAは特殊な酸化を受ける。即ち、プロピオニルCoAカルボキシラーゼによって2位の炭素がカルボキシル化し、D-メチルマロニルCoAとなる。さらにこれはメチルマロニルCoAラセマーゼによりラセミ化し、L-メチルマロニルCoAとなる。これがメチルマロニルCoAムターゼにより異性化し、スクシニルCoAとなった上でクエン酸回路に組み込まれるのである。
◎3-ヒドロキシブタノイルCoA
トリプトファン及びリシンの分解の中間体である化合物で、形式的には3-ヒドロキシ酪酸と補酵素Aのチオエステル化合物。生体内ではクロトニルCoAがエノイルCoAヒドラーゼによって水素化されることにより生成する。3-ヒドロキシアシルデヒドロゲナーゼによってアセトアセチルCoAとなる。
◎ヒドロキシメチルグルタリルCoA
略称のHMG-CoAで知られている。アセトアセチルCoAがHMG-CoAシンテターゼによって還元されて生成する。メバロン酸回路の中心的な化合物であり、HMG-CoAレダクターゼによってメバロン酸となる反応がテルペノイド/ステロイド/カロテノイド合成の律速反応である。そのため、英語ではメバロン酸経路をHMG-CoA経路と呼んでいる。
◎フェルロイルCoA
フェルラ酸(3-メトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸)と補酵素Aの縮合化合物。フェルラ酸から4-クマル酸-CoAリガーゼによって生成する経路と、カフェオイルCoAからカフェオイル-CoA Oレダクターゼによって生成する経路がある。シンナモイルCoAレダクターゼにより、コニフェニルアルデヒドとなる。
◎プロピオニルCoA
プロピオン酸と補酵素Aのチオエステル化合物。奇数炭素鎖脂肪酸やバリン、ロイシン、イソロイシン及びβ-アラニンの分解によって生成する、中間体。直接にはアクリロイルCoAがアシルCoAデヒドロゲナーゼによって生成する。プロピオニルCoAカルボキシラーゼによりカルボキシル化され、メチルマロニルCoAとなった後、いくつかの反応を受けてスクシニルCoAとなり、クエン酸回路に組み込まれる。
◎マロニルCoA
マロン酸と補酵素Aのチオエステル化合物である。酢酸-マロン酸経路及び脂肪酸合成でみられる。酢酸-マロン酸経路ではアセチルCoAと縮合反応をすることにより、ポリケチドや芳香族化合物生合成の基質となる。また、脂肪酸合成ではアセチルCoAがアセチルCoAカルボキシラーゼによってマロニルCoAとなる。これはATPを消費する吸エルゴン反応で脂肪酸合成の律速段階である。また、この反応にはビオチンが必須である。このマロニルCoAはアシルキャリヤータンパク質 (ACP) と結合してアセチル基を付加されるなどして炭素鎖が延長され、脂肪酸となる。
(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
★ユビキノンとは?
ユビキノン(略号:UQ)とはミトコンドリア内膜や原核生物の細胞膜に存在する電子伝達体の1つであり、電子伝達系において呼吸鎖複合体IとIIIの電子の仲介を果たしている。ベンゾキノン(単にキノンでも良い)の誘導体であり、比較的長いイソプレン側鎖を持つので、その疎水性がゆえに膜中に保持されることとなる。酸化還元電位 (Eo') は+0.10V。
広義には電子伝達体としての意味合いを持つが、狭義には酸化型のユビキノンのことをさす。還元型のユビキノンは『ユビキノール』と呼称していることが多い。別名、補酵素Q、コエンザイムQ10(キューテン)、ビタミンQ、CoQ10、ユビデカレノンなど。
◎ユビキノンの合成
ユビキノンは生物内での合成が可能であり、ビタミンのように経口摂取する必要は無い。そのため、ビタミンQの呼称は最近使用されなくなってきている。ユビキノンのベンゾキノン部位はアミノ酸のトリプトファンから合成される。またイソプレン側鎖はアセチルCoAからテルペンを経て合成される。
ただ、合成能力は年齢とともに衰えていき、20代がピークといわれている。
◎健康食品や化粧品への応用
ユビキノンは日本では1970年代から医療用医薬品として軽度及び中等度のうっ血性心不全症状などに用いられてきた。また、複数の製薬メーカーが、一般用医薬品(OTC医薬品)・医薬部外品として、一般消費者向けの商品を発売している。安全性は比較的高く、米国ではコエンザイムQ10の名称でサプリメントとして広く用いられており、医師の処方箋なしに消費者が直接店頭などで購入できる。
日本でも2001年に医薬品の範囲に関する基準(いわゆる「食薬区分」)が改正され、さらに2004年化粧品基準が改正されて、健康食品や化粧品への利用に道が開かれた。その結果、抗老化作用を訴求したユビキノン(コエンザイムQ10)含有の健康食品や化粧品が市場に氾濫し、品薄で入手しにくいほどの人気を博している。 しかしながら、そのような薬効を臨床的に検討したデータはまだ乏しく、詳細な効果についてはまだ詳しくわかっていない。
摂取量については、どの程度までなら摂取しても安全なのか、などといった推奨量や上限量はまだよくわかっておらず、今後の研究が待たれる。また「多量に摂取した場合に軽度の胃腸症状(悪心、下痢、上腹部痛)」[1]があらわれるという報告もあり、1日に数十mg〜もの過剰摂取は避けた方が望ましい。
ユビキノンから開発された「イデベノンIdebenone(アバン)」は脳循環・代謝改善剤として使用されていたが、日本では1998年に医薬品の承認を取り消されている。
◎原料製造メーカー
2007年現在コエンザイムQ10の原料製造を行っているのは世界でも日本企業5社(日清ファルマ(日清製粉グループ本社子会社)、カネカ、旭化成ファーマ(旭化成子会社)、三菱ガス化学、協和醗酵工業)のみであり、世界シェア100%を握っている。中でもカネカは最大のシェア(約65%)を持っている。各社とも、発酵法によって製造を行っている。
★コエンザイムAとは?
補酵素A(ほこうそA、コエンザイムA あるいは CoA)は、生物にとって極めて重要な補酵素(助酵素)である。パントテン酸とアデノシン二リン酸、および 2-チオキシエタンアミンから成り立っており、化学式C21H30P2N5O11S、分子量474。
補酵素Aの構造式末端にあるチオール基に様々な化合物のアシル基がチオエステル結合することによってクエン酸回路やβ酸化などの代謝反応に関わる。例えばアセチル基が結合したものはアセチルCoAである。その他にも多くの補酵素Aのチオエステル化合物がある。
アセチルCoAは様々な経路によって生産される。最も代表的なものは解糖系(EM経路)で、ピルビン酸を原料とし、ピルビン酸デヒドロゲナーゼ複合体の働きによって生成する。その他にも脂肪酸の代謝や、アミノ酸の異化によっても生成する。また、一部の嫌気性微生物は二酸化炭素と水素を反応させることによって作り出す。この経路はアセチルCoA経路と呼ばれる。殆どの生合成経路に関連する、最も重要な化合物といっても過言ではない。クエン酸シンテターゼによってオキサロ酢酸と反応してクエン酸となりクエン酸回路に組み込まれる。また、アセチルCoAチオラーゼの働きによりアセトアセチルCoAとなってメバロン酸経路の出発物質となる。また、マロニルCoAとともに酢酸-マロン酸経路とも関連している。
◎アセトアセチルCoA
アセチル基がアセチルCoAに結合したもので、チオラーゼが触媒するアセチルCoA 2分子の縮合反応によって生成する。テルペノイド合成(メバロン酸経路)及びβ酸化の最終段階で現れる。
◎カフェオイルCoA
コーヒー酸と補酵素Aからなる。リグニン生合成に関わる物質の一つで、trans-コーヒー酸から4-クマル酸リガーゼの働きによって生成する。キナ酸 O-ヒドロキシシンナモイルトランスフェラーゼによりクロロゲン酸が生成。また、シンナモイルCoAレダクターゼによりコーヒーアルデヒドができる。
◎クマロイルCoA(4-クマロイルCoA)
p-クマル酸(4-ヒドロキシケイ皮酸)と補酵素Aが縮合したものであり、フェルロイルCoA、シンナモイルCoA、シナポイルCoA及びカフェオイルCoAとともにフェニルプロパノイド/リグナン合成の中間体であり、フラボノイド生合成の出発物質でもある。トリヒドロキシスチルベンシンテターゼによってトリヒドロキシスチルベンとなり、シンナモイルCoAレダクターゼにより、クマリルアルデヒドとなる。
◎グルタリルCoA
グルタル酸と補酵素Aの縮合化合物。リシンおよびトリプトファンの分解に伴って生成する2-オキソアジピン酸と補酵素Aが2-オキソアジピン酸デヒドロゲナーゼによって縮合して生成する。あるいは、グルタル酸-CoAリガーゼによる縮合反応によってできる。グルタリルCoAレダクターゼによってクロトニルCoAとなる。
◎クロトニルCoA
クロトン酸とのチオエステル化合物。トリプトファンおよびリシン代謝の中間体として、グルタリルCoAがグルタリルCoAレダクターゼによって還元されて生成する。これはさらにエノイルCoAヒドラーゼによる還元を受け、3-ヒドロキシブタノイルCoAとなり、最終的には解糖系に組み入れられる。
◎シナポイルCoA
4-クマル酸-CoAリガーゼによってシナップ酸とCoAのチオエステル化合物で、ケイ皮酸などともにリグニン生合成に関連する化合物。シンナモイルCoAレダクターゼによってシナポイルアルデヒドとなる。さらにこの化合物は還元されてシナポイルアルコールとなり、リグニンの直接の原料となる。
◎シンナモイルCoA
ケイ皮酸と補酵素Aから4-クマル酸-CoAリガーゼにより生成する。リグニン合成に関連する化合物の一種である。シンナモイルCoAレダクターゼにより還元されてシナミルアルデヒドとなるほか、ピノシルビンシンテターゼによりピノシルビンとなる。
スクシニルCoA(サクシニルCoA)
コハク酸と補酵素Aのチオエステル化合物で、クエン酸回路を構成する化合物の1つである。これは2-オキソグルタル酸と補酵素Aが2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼによって反応してできる化合物で、スクシニルCoAシンテターゼにより、コハク酸となる。この化合物の重要な役割はクエン酸回路の中間体であるということだけでなく、クエン酸回路の反応を調節する点にある。スクシニルCoAによってクエン酸シンターゼ及び2-オキソグルタル酸デヒドロゲナーゼがアロステリック効果により阻害を受けるのである。スクシニルCoAは脂肪酸代謝でも重要な役割を果たす。脂肪酸代謝において、偶数個の炭素を有する脂肪酸はβ酸化によりアセチルCoA単位に分割されてクエン酸回路に組み込まれるが、奇数個の炭素を有する脂肪酸は最後にプロピオニルCoAが残ってしまう(プロピオニルCoAはアミノ酸の代謝によっても生成する)。これを代謝するためにプロピオニルCoAは特殊な酸化を受ける。即ち、プロピオニルCoAカルボキシラーゼによって2位の炭素がカルボキシル化し、D-メチルマロニルCoAとなる。さらにこれはメチルマロニルCoAラセマーゼによりラセミ化し、L-メチルマロニルCoAとなる。これがメチルマロニルCoAムターゼにより異性化し、スクシニルCoAとなった上でクエン酸回路に組み込まれるのである。
◎3-ヒドロキシブタノイルCoA
トリプトファン及びリシンの分解の中間体である化合物で、形式的には3-ヒドロキシ酪酸と補酵素Aのチオエステル化合物。生体内ではクロトニルCoAがエノイルCoAヒドラーゼによって水素化されることにより生成する。3-ヒドロキシアシルデヒドロゲナーゼによってアセトアセチルCoAとなる。
◎ヒドロキシメチルグルタリルCoA
略称のHMG-CoAで知られている。アセトアセチルCoAがHMG-CoAシンテターゼによって還元されて生成する。メバロン酸回路の中心的な化合物であり、HMG-CoAレダクターゼによってメバロン酸となる反応がテルペノイド/ステロイド/カロテノイド合成の律速反応である。そのため、英語ではメバロン酸経路をHMG-CoA経路と呼んでいる。
◎フェルロイルCoA
フェルラ酸(3-メトキシ-4-ヒドロキシケイ皮酸)と補酵素Aの縮合化合物。フェルラ酸から4-クマル酸-CoAリガーゼによって生成する経路と、カフェオイルCoAからカフェオイル-CoA Oレダクターゼによって生成する経路がある。シンナモイルCoAレダクターゼにより、コニフェニルアルデヒドとなる。
◎プロピオニルCoA
プロピオン酸と補酵素Aのチオエステル化合物。奇数炭素鎖脂肪酸やバリン、ロイシン、イソロイシン及びβ-アラニンの分解によって生成する、中間体。直接にはアクリロイルCoAがアシルCoAデヒドロゲナーゼによって生成する。プロピオニルCoAカルボキシラーゼによりカルボキシル化され、メチルマロニルCoAとなった後、いくつかの反応を受けてスクシニルCoAとなり、クエン酸回路に組み込まれる。
◎マロニルCoA
マロン酸と補酵素Aのチオエステル化合物である。酢酸-マロン酸経路及び脂肪酸合成でみられる。酢酸-マロン酸経路ではアセチルCoAと縮合反応をすることにより、ポリケチドや芳香族化合物生合成の基質となる。また、脂肪酸合成ではアセチルCoAがアセチルCoAカルボキシラーゼによってマロニルCoAとなる。これはATPを消費する吸エルゴン反応で脂肪酸合成の律速段階である。また、この反応にはビオチンが必須である。このマロニルCoAはアシルキャリヤータンパク質 (ACP) と結合してアセチル基を付加されるなどして炭素鎖が延長され、脂肪酸となる。
(『ウィキペディア(Wikipedia)』より)
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